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張碓・軍事道路。郵便マークの建物が……

小樽市街地の背後、ひと気のない山中を行く
「軍事道路」と呼ばれる道があります。
明治時代の後期、
日露戦争の時代に造られたのが
その名の由来です。
当時、小樽から札幌への交通路は
海沿いの細い道しかなく、
戦時を控えて安全なルートを確保するために、
この山道が急造されたのでした。
もっともこの道は急坂・急カーブの連続する
まさに“山道”といったもので
ほとんど実用にはならなかったようです。

「軍事道路」は小樽市街・龍徳寺のあたりを起点とし、
現在の地名でいうと潮見台、望洋台、新光を抜け、
再び山に上って張碓へと至る全長約17kmの道です。
そのうち現在でも山道の姿を残しているのは、
張碓側の2kmほどの区間だけです。

この軍事道路を地元情報紙で取り上げるため、
先日、現地を訪れました。
訪ねるのは2回目ですが、
前回は木々がすっかり葉を落とした晩秋だったので、
未だ緑の濃い今回は、だいぶ印象が異なります。

国道5号が大きくカーブする張碓の、
通称「大曲」の奥が道のスタートです。
しばらく進むと、道端に
何本かの電信柱が立っているのが見えてきます。
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これは小樽〜札幌間の市外電話や
鉄道電話を通す際に立てられたものだそう。
古びた木製の電柱です。

さらに進むと、もっと奇妙な建物が姿を現します。
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「〒」郵便マークの付いた謎の建造物。
一体、何だこりゃ!?
建物の正体は長らく謎で、
〒からの連想で郵便物の保管場所か?
などとも推理されたようですが、
最近わかったのは、電話線に関連する設備だということ。
電話の通信電流が弱まるのを防ぐための施設だそうです。
(装荷線輪というらしい)。

昔は電話も郵便も「逓信省」が管轄していたので、
そのマークである「〒」が付いているというわけ。
分厚いコンクリートの建物には窓もなく、
一部は苔むして、ちょっと不気味です。
入ってみようという気にはなりませんでした。

電柱の下ではこんなものも見つけました。
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お銚子1本!……ではなく、
碍子(がいし)です。
電線を支える絶縁体ですね。

小樽の山の中にひっそりと残る、
ちょっと風変わりな歴史の遺構です。




★軍事道路に関しては続編があります。
★関連記事はこちら







by wilderness-otaru | 2011-09-06 14:34 | 小樽散歩 | Comments(0)
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