北海道新聞別刷り〈新ねっとわーく小樽〉創刊  忍路の街、須摩トヨさんのこと、など

 小樽市内で北海道新聞の
朝刊別刷りとして発刊する月刊の情報紙
〈新ねっとわーく小樽〉が、
本日創刊です。

2011年4月まで〈ねっとわーく小樽〉
として発行していましたが、その後は一時、
紙面の縮小を経て、今回再び
以前の形態になっての“新創刊”となりました。
この編集を小社で担当させていただいています。
d0174510_11591483.jpg

▲紙面でメインに使ったのがこの写真。
昨年夏に漁港で撮ったものでした。
紙面ではモノクロです。

昔の忍路について話を伺うため、
訪ねたのが須摩トヨさん。
須摩家は古くから続いてきた
鰊漁家のひとつで、トヨさんは昭和22年、
この地に嫁いできました。
夫の須摩正敏さん(故人)
教職に就くかたわら忍路の郷土史に造詣が深く、
〈忍路郷土誌〉〈ヲショロ場所の人々〉といった
優れた著作を記しています
(ともにぼくは何度も読んで、
いろいろ参考にさせてもらっている貴重な書物です)

 トヨさんご自身も10数年前に〈忍路閑話〉という
小さな本(〈余市豆本〉第3集3号)を書かれています。
軽妙なエッセイのなかに昔の忍路のことが
いろいろと描かれて、楽しくも役に立つ読み物です。

トヨさんは大正14年のお生まれで、
もう米寿を超えたご高齢です。
以前に別な出版物で須摩家に所蔵される
古い写真を使わせていただいたことはあるのだけれど、
お会いするのは初めてです。

伺ったのは6月でした。
ご立派な経歴をお持ちの方なので、
もしや気難しい人では……などと勝手に想像し、
若干緊張気味に、忍路の大きな家の
インターホンを鳴らしたのでした。
 すぐに玄関を開けてくれたトヨさんは、「どちらさま……?」
「え……?」。
 約束をいただいたのは前々日の電話で、
「では明後日午後3時に……」と
はっきり念を押したつもりでした。
「あら来週かと……。やだ、私ボケちゃった!?、まあどうぞ……」と
慌てながらも招きいれてくれて、
緊張感は一気に吹き飛んだのでした
(これはほんの勘違いだったようで、
トヨさんは昔のことも最近のことも鮮明に記憶しておられ、
ボケたなどとんでもない。念のため……)

当日は、もう1人の方に同席していただくことに
なっていました。
須摩家で長く漁に携わってきた阿部繁雄さん。
トヨさんはすぐに阿部さんに電話を掛け
「もしもし、マストですけどね……」と言うのです。
マストとは須摩家の印(しるし)で、
□の中に「ト」を入れたような記号です
(厳密には□の形とは違い、“舛”を表します)
古くから商業者や網元などは、
互いに姓名ではなく印の読みで呼び合った、
ということを聞き知ってはいましたが、
目の前でそれを耳にしたのは
ちょっとした感動にも近い驚きでした。

近くに住む阿部さん(トヨさんは「しげおちゃん」と呼びます)は、
すぐに来てくれました。
阿部さんは昭和5年生まれで83歳、
須摩家から独立して漁師となり、
今も現役で海に出ています。
この日も午前中はウニ漁をやっていたと言い、
若々しくお元気です。

名家の若奥様として迎えられたトヨさんと、
その家で働いていた阿部さんは
今も家族ぐるみの付き合いを続けているのだそう。

昭和20年代まで続いた鰊漁のこと、
忍路の街の昔など話は山ほどありました。
あっという間に2時間近く。
これまでに書物から知識として得ていたいた内容が、
話として繋がって「なるほど!」と感じることも多く、
新鮮でした。

トヨさんは「こんな雑談でいいのかしら」と
笑っていましたが、実に楽しい時間でした。
今回の「取材」には直接繋がらないことでも、
実りの多い話をたくさん聞けました。
d0174510_12505687.jpg

そうしてトヨさん宅を辞するとき、
阿部さんも一緒に席を立ちました。
この日は小さな菓子折を携えていったのですが、
トヨさんは小さな声で
「しげおちゃん、お菓子いただいたの。分けよ」と、
にこにこ話しているのが聞こえてきました。
「何と、かわいいおばあちゃん!」。
楽しい気持ちになって
忍路の街をあとにしたのでした。

さて、これが本日発刊の〈新ねっとわーく小樽〉。
小樽市内の北海道新聞に折込で入っています。
d0174510_1333384.jpg
それにしても忍路は魅力的な街です。
このブログでは小樽市内のいろいろな場所について
これまで書いてきましたが、
多分、忍路に関する記事が
いちばん多いはずです。















 

by wilderness-otaru | 2014-08-15 13:10 | できごと | Comments(2)
Commented by 小梅太郎 at 2014-08-16 10:12 x
ねっとわーく小樽、創刊おめでとうございます。
忍路の記事、大変興味深く読ませていただきました。
そして、このブログ記事も!
私も忍路が大好きなんですが、年に一回程度しか行けてませんので、こちらのブログで色々読ませていただいてます。

そして、ねっとわーく小樽への掲載、ありがとうございます。
当方のSNSの方で、少し宣伝させていただき、何件か反応をいただきました。
これからもよろしくお願いします。
(ブログのコメント欄にて、失礼します)
Commented by wilderness-otaru at 2014-08-16 12:32
小梅さん、ありがとうございます。今後の連載、よろしくお願いします。どんな料理が出てくるのか、私自身楽しみです。
紙面に関してSNS、ブログなどに書くことは一向に構いませんので、どうぞ宣伝してください。
<< 雨乞の滝へ 〜勝納川源流の“秘滝”〜 〈小樽海岸探勝路〉を歩く。〈... >>