全国各地に「富士」の名を付けた
“ご当地富士山”、“郷土富士”と呼ばれる山は 多数あります。 北海道では蝦夷富士こと羊蹄山、 利尻富士こと利尻山、など。 そんななかで小樽にある“富士”といえば、 手宮富士。 標高はわずか150m足らず、 山というより市街地に突き出た丘陵です。 ▲手宮公園から見た手宮富士。 この角度だとわりあい形が整って、 富士らしい姿に見えます。 左に見える大屋根が浄應寺、 その近くに旧石山中学校の円形校舎が見えています。 画面右奥に見える山は塩谷丸山です。 ふと思い立ってこの手宮富士に 登ってみることにしました。 スタートは旧石山中学校のあたり。 2002年に廃校になった学校ですが、 二連の円形校舎がユニークです。 学校は『浄應寺の坂』沿いにありますが、 道路からはやや奥まった位置にあるため 校舎の姿が見えません。 その替わり少し離れた場所からは見え、 手宮公園から撮影した上の写真にも写っているし、 意外にも、小樽駅のあたりからも 見ることができるのです。 ▲登り始めてまず見えてくるのが、 浄應寺の大伽藍。 本堂は大正11年9月に落成した 荘厳な建物です。 ▲旧石山中学校の校庭に出ます。 この校舎が完成したのは昭和32年10月。 石山中学校の校舎は前年5月2日に起きた稲穂町大火で焼け、 その後に再建されました。 当時、学校建築に流行した円形校舎ですが、 旧校舎の焼失から再建まで わずか1年半足らずですから、 相当な突貫工事で急造されたのでしょう。 なにしろ戦後の子どもの多い時期、 ただでさえ教室不足が深刻な時代に 校舎を丸ごと失って、 その打撃が相当に深刻なものだったことは 容易に想像できます。 今では全国的にも希少な円形校舎で、 保存・活用を求める声もあるようですが、 完成から60年近くを経て、 老朽化は相当に進んでいます。 現在の耐震基準にも合わず、 再利用は難しいらしい。 校舎からさらに登って、 手宮富士の山頂を目指します。 スノーシュー使うと快適に進めます。 かつて石山中学校に通った人の話では昔、 この斜面でスキー授業をやったのだそう。 しかし山腹のあちこちが切り拓かれて畑があり、 肥溜めもあったらしい。 うっかり滑るとそこに転落!! という危険もあったんだって。 それから学校からは山腹を通って 豊川町方面に至る“けもの道”のような通路があり、 生徒の通学に利用されていたのだそう。 しかし今でいう「不審者」がその頃にもいたため、 男子はいいけど女子だけでは通っちゃダメと決められ、 男の子たちは女の子のボディガード役を買って出て、 いいとこ見せた……という微笑ましい話もあったらしい。 (その頃の男の子も女の子も、今では還暦くらい……) 30分ほどの登りで山頂へ。 小樽市街中心部を見下ろす絶景です。 後ろを振り向けば長橋、手宮方面も見渡せます。 旭展望台、天狗山など小樽市街の展望地は いくつかありますが、360°の視界が開けるという点では、 ここ手宮富士がピカ一! ただし登山道はなく、 夏は山全体が深いヤブに覆われて 登ることはほぼ不可能。 雪の上を歩ける冬のあいだ限定の 展望地、というわけです。
樹木の少ない斜面を滑ったら気持ちよさそう。 今度はスノーシューでなく
by wilderness-otaru
| 2015-01-31 23:20
| 小樽散歩
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