ここしばらく旅のことを書いてきました。
ここでまた小樽に戻り、昨日のカヤックのことを。 好天に恵まれ、気温も上がった21日土曜日。 午後3時まで仕事して、いったん帰宅、 4時には塩谷海岸に着いて、すぐ海上へ。 この近さ、手軽さ、いいなあ……。 のんびり1時間ほど漕いで着いたのが、 ここ絃掛岩(つるかけいわ)。 国土地理院の地形図に、 この岩の名は記されていません。 塩谷漁港寄りにある、もうひとつの窓の開いた岩には 「窓岩」とあるのだけど……。 そのため僕はこの岩を勝手に「第2窓岩」という 素っ気ない名で通称していました。 しかし名前はちゃんとあったのです。 それも松浦武四郎の紀行にも出てくる 由緒ある地名が! それが絃掛岩です。 僕がしばしば参照する『忍路郡郷土誌』に この岩のことがちゃんと書かれていて、 それが「第2窓岩」のことだと繋がったのは、 数ヶ月前のことでした。 この本によると 〈塩谷の窓岩とオタモイの中間にあり、 形が鍋釜の「ツル」に似ているところからこの様に呼ばれ、 その眺めの奇にして勝れていることは安政三年の松浦武四郎の 「日誌」中にもこの岩の写生画つきで紹介している〉。 安政3年に刊行された松浦武四郎の日誌といえば 〈西蝦夷日誌〉で、忍路〜小樽周辺のことが 詳しく書かれています。 高島沖で見た蜃気楼を“高島おばけ”として 絵入りで記しているのもこの本。 しかし絃掛岩に関する記述は見当たりません。 ともあれ陸路からは姿を見られないこの岩、 150年以上も昔に探検家が見ていたとは興味深い。 このあたりの海岸、人造物がほとんどないから、 武四郎が見た景色は、今も変わっていないはず。 向こうの海を望むのもおもしろい眺め。 夕陽を受けて赤く染まっています。 絃掛岩の下をカヤックで通るのは本当にギリギリ。 潮位によっては通れませんが、 このときは何とかクリアできました。 こちらは窓岩の下。 岩に阻まれ、漕いで通ることはできず。 浅瀬でフネを持ち上げて、通過しました。 それにしてもこのベタ凪! 沖合でこれほど波がないのは、 今までに見たことのないフシギな光景でした。
by wilderness-otaru
| 2016-05-22 23:22
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